運命の出会いに思える再会でした

大学での出会い

「あれ…? Aさん?」

 

「はい!! えっと、どちら様でしょうか…?」

 

大学の入学式、記念撮影のために並んだ瞬間でした。

 

知らない人だらけのはずのこの学校で名前を呼ばれ、私は驚いて振り向きました。切れ長の目が涼しげなスーツを着た男子学生が私を見ていましたが、記憶には彼の姿は見つかりません。

 

「僕です…Bです。中学校のときに同じだった」

 

苗字と名前を名乗られて、ようやく名前だけがぼんやりと浮かんできました。

 

「あー! 懐かしいね、お久しぶり」

 

高校でいじめに近い扱いを受けていた私ですので、できれば地元から離れたいと、住んでいた県とはかなり離れた大学で、まさか同じ地域の人と出会うなんて思ってもみませんでした。

 

その場でメールアドレスを交換して、英語のクラスではペアを組む程度の付き合いでしたが、いじめられていなかった頃の懐かしい顔と親しく付き合うのは、単にクラスメイトといっしょに過ごすのとは違うステディな感じでした。

 

彼も同じ気持ちでいたのでしょう、一月経つころ、そのころには毎日メールを交わさないと落ち着かないような関係でした。五月のゴールデンウィークに入る前、彼は講義終わりの教室移動のときに、ぽつりと言いました。

 

「Aちゃん、俺の恋人になってほしいです」

 

穏やかな気持ちでした。だけどココロにぽっと火が点ったようでした。親からも離れて生活する中で、彼との出会いは安寧の毎日の象徴だったからです。

 

「もちろん! よろしくね」

 

激しい恋ではありませんが、静かな愛を育んでいけると思い、私は頷きました。

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